心理学というのは、人の心の動きを研究する学問です。
そして「こころとは何か?」「何を研究したら『こころ』が分かるのか」を迷っている学問とも言われています。
人に対して”真摯”だということでもあると、いうことですね。
以下のように研究している人の数だけ、心理学には種類があります。
心理学の種類
実はもっとあります。
これら心理学は何を見ているかというと、、、、
ある刺激や出来事に対する「反応」の傾向の統計を取って「こころ」を導き出しています。
上記の種類以外にも、”心理学”といった言葉がつかなくても「”反応”や”行動”からこころのメカニズムを推論する」ということは盛んに行われています。
例えば
どうしてダメンズばかりと付き合うことになるのでしょう?
の問いに答えたり、
困った行動をする人を理解するために、性格がこうだからとか、過去にこんな経験や育ちをしているからとか、色々推論して自分や相手を知って納得したりします。
漠然としていて測定できないからです。
心を科学しようと思うと”測定”できるものが必要になります。
そこで、人が何かの「反応」を起こして行動する。
と仮説を立て、「心」を使わず、
「反応」という言葉を使い、統計を取っています。
ならば「反応」とは具体的に何のことを指すのか?!
という点に関しては、最近の主流は、「認知の部分」であることと、教育の面でも「認知心理学を応用している」と思われるので、認知心理学の一部から読み取っていきます。
認知心理学とは
認知というのは、外界にある対象を知覚することで、解釈や判断を行う過程のこと。
認知心理学というのは、出来事が起こった後の情報処理の過程、認知の過程や仕組みを研究する心理学です。
(本来は知覚する過程全てを研究しています)
- 物事は捉え方次第だ。
- 物事の捉え方を変えると人生が好転する
- 捉え方をポジティブにしよう!
ということを、よく聞きませんか?
これらは認知心理学からの考えかたの一部です。
例えばこちら。
「友達に送ったメールにすぐ返事がこない」A・B・Cの認知について
それぞれ出来事をどう捉えるかで反応(気持ちや行動)が違います。
Cさんのような捉え方(認知)ができると生きることがラクそうですよね。
一方、バラバラの出来事であったとしても、
出来事の捉え方には共通点が隠れていることがあります。
その共通点のことを性格と言ったり個性と言ったり価値観と言ったりします。
例えば下記の場合、あなたなら
どんな価値観があると思いますか?
この2つの事象に、共通すると考えられる価値観は
- 規則は守るものだ
- 誰も見ていなくても真面目にするべき
- 自分勝手なことをしてはいけない
ということが考えられます。
出来事があると同時に認知が作動している人が多く。
認知があるから反応がある。
その「反応」は「感情・行動」で表現される。
「反応」を良いものにするには認知を変えていく必要がある。
と、考えると
「思考・感情・行動」を決める「反応」が「心」となっていそうです。
そしてこの「反応」の多くは無意識化で起こっているとして、
無意識を重視する考え方も、心理学の大きな柱として存在しています。
その代表的なものがメンタルモデルです。
メンタルモデルとは
メンタルモデルというものが、ビジネスの場面ではよく用いられます。
それがこの図:氷山モデルです。
【A】は目に見えること、聞けること、
【B】以下は見えないもので、気づきにくいもの
【D】に至っては無意識化でもあるので、気づかない人が多い
例えば、部屋がすぐに散らかるという出来事があったとしよう。
食べたら食べたまま、使ったら使ったままのパターンは、よく観察するとゴミ箱が遠かったり収納効率が悪い構造があるので、構造を変える。それでも片付かない場合、部屋が片付いていなくても大丈夫と思う信念があるので信念を変えてみる。
と言った流れで、自らの行動をシステム的に見直す、思考改善や業務改革に役立ちます。
認知心理学とメンタルモデルの共通点
認知心理学の認知の部分と
氷山モデルのメンタルモデルは同じようなことを言っています。
どちらも無意識化で起こっていることです。
多くの人が気づかない状態なので、
気づくためには「反応」の成り立ちを知った方がいいようです。
「反応」は反応が起こる思考(認知)の結果であり、
「感情・行動」は「こころ」が表面化したものである。
ややこしいですね(^^;
要は、よき「反応」のためには、
よき認知や価値観や信念に置き換えた方がいいとしている。
これは、考え方や捉え方を変えると、
人生が良くなるという考え方の基にもなっています。
捉え方を変えるために、
過去のトラウマを解消する場合には
心理療法という癒しの方法があります。
ここで抑えたいのは、心理学や心理療法において
「こころ」を考えようと思うと
「反応抜き」には考えられないということです。
伝わっていますか?
「反応」はあるものですが、反応を科学しているので
『「反応」せずに出来事を見ることも可能である(軸対話)』
ということにはほとんど触れていないのです。
その心理学を教育に生かそうとした結果、
「こころ」はどうなっていったのかを引き続き検証してみましょう。
教育としての「こころ」
教育現場では、正しい認知の仕方を教えなければけないとなっています。
- 挨拶をしましょう!
- 悪いことをしたら謝りましょう。
- 信号はきちんと守るものです。
- 仕事中は私語を慎むものです。
- いじめはしてはいけません。
- 命は大切なものです。
- 宿題は毎日しましょう。
- コツコツ努力しましょう。
人としての行動が正しくないのは、
認知の部分が未発達だから間違える。
だから教え込まないといけないとなっています。
これは、本当にそうでしょうか?
本当に子どもは人の心や痛みがわからないのでしょうか?
乳児にも人の「こころ」がわかる実験結果があります↓↓
【18】本当に子どもは未熟なのだろうか?もっと自分を信じよう!
心理学は総合で理解して役に立つ(しな軸視点)
心理学は不特定多数の人を理解したり、
ある対象者を知るヒントにするには非常にいい学問です。
ただ人間関係、特に人の育ちをサポートしている場合には、細かく分かれた心理学ではなく総合的に見る必要があります。
何かが良くて何かがダメではなく、
総合的に知って活かしていくものが必要でしょう。
- 認知や価値観だけに左右されているわけではない。
人の行動は認知や価値観だけではなく思考や欲求や感情によって違う。 - 認知を変えたら感情と行動が一度に変わるわけではない。
現代人の場合、感情と行動は常に一致しているわけではなく、顔はニコニコの行動でも心は怒っているときもあれば、行動は声を荒げて怒っていても感情は愛情や心配しているときはある。 - 認知を変えてもストレスコントロールは難しい。
心理学を知るということは人間関係を円滑にストレスを減らす目的でもあるけれど、出来事が起こった時に認知を変えるだけでストレスが減るとは限りません。 - トラウマを解消しても「構造(やり方)」が変わらない。
パターンも分かった、過去も癒した。でも対話の仕方は親子間の連鎖があり、過去のままではパターンを解消することは難しい。 - 性格を知らなくても人間関係は築ける。
認知を知るということは人の性格傾向を理解することでもあります。性格傾向を理解しないと心地よい人間関係は築けないのかというと、、、そうでもありません。
確かに心理や心理療法は、
自分自身や相手の一部を理解するには役に立ちます。
そして自分自身を楽にもします。
しかし相手との関係で行動を起こしたり、
行動を変えるには、
自分の思考の仕方を変えるだけでは足りません。
確かめる(対話する)という行動を起こす必要もあります。
例えば、仕事中に同僚の私語が聞こえてきました。
認知を変えようとして、、、
無駄口だとジャッジしてるなんて、
正しさの押し付けだし、
ジャッジするのはやめよう、
人は人、私は私だ、見ないようにしよう。
と、考えてもいいのですが、
無駄口で自分が頼んだ仕事が遅れていると懸念するなら、伝えないと分からないのです。
伝えてみると、、、、
無駄口だと思っていたことが、
仕事の効率化がわからなくて質問していた。
もしかすると、
仕事の悩みを話していて、聞いてもらってスッキリした。
と言うことが、起こっていたのかもしれないのです。
確かめてみた方が、心が落ち着きませんか?
確かに、あなたの中には
- 規則は守るものだ
- 誰も見ていなくても真面目にするべき
と言う”価値観”もあるかもしれないけれど
- 仕事を早く終わらせたい!
- 仕事を期日までに正確に仕上げたい!
と言う”欲求”もあります。
イライラして待ったり、無理やり認知を変えるより
自らの欲求を満たす行動を起こし
問いかけて確認し、対話した方がスッキリします。
上記は、行動科学と欲求の心理学の応用です。
心理学を実際の行動に応用しようと思うときには、
総合的に考えていく必要があるということです。
それだけ「こころ」が複雑であるということでしょう。
「反応」を見ているので複雑になってしまったようにも思えます。。。
まとめ
学問というのは、何かに特化して研究するので、心理学であってもどうしても偏ります。そして多くの心理学は「反応」を科学しています。ということは、新しい脳の癖や習性を研究している学問ではないかと考えられます。
新しい脳をもっと発達させて、人の認知の部分をどうにかしようとしていることがよく分かります。認知は、新しい脳が支配するところです。
人間は新しい脳だけで成り立っているわけではないので、専門の心理学で「こころ」を理解することは難しく、脳科学的な理解が少しずつ主流になりつつあります。詳しくはストレスシリーズで説明します。
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